ジョージ・R・R・マーティン『剣嵐の大地 2』

剣嵐の大地〈2〉 (氷と炎の歌 3)

剣嵐の大地〈2〉 (氷と炎の歌 3)

氷と炎の歌>シリーズは今まで文庫版で読み揃えてきたが,『王狼たちの戦旗 5』の解説で第4部"A Feast for Crows"の邦訳が来春刊行と知り,9月頃からハードカバーのほうで第3部『剣嵐の大地』を読み進めている.これはその全三分冊第2巻.
デーナリス・ストームボーン一世一代の大博打で締めくくられた第1巻のテンションそのままに突入した『剣嵐の大地』第2巻では,序盤からもうトップギアで駆け抜ける巡るめく怒濤の展開.ここにきてマーティンの無慈悲なまでに容赦ないストーリーには恐れ入る.登場人物全ての命の重さを極めて平等に描いており,それは(少なくとも一次視点で描かれてもおかしくない)主役級のキャラクタまで次々と物語の舞台から降ろされたり,あるいは舞台から蹴り落とされようとする後一歩の留まっていたりと,目を疑うぐらい運命に翻弄され続けている.唯一第3部にきて絶好調すぎる展開を見せるデーナリス女王が,2巻では1章分しか登場しないとは少し寂しい.彼女の玉座奪還へのさらなる躍進はまだなのか.
これほどハイテンションなのに,これでまだ三分冊の中編なんだぜ.最終第3巻はどうなるんだよ一体.